TECHNOLOGY 技術紹介・発明紹介
細胞膜張力を標的とした全く新しいがん治療薬
- ライフサイエンス
- 創薬
- 2022.10.19
がん細胞の細胞膜張力の調整により、がん細胞の増殖、浸潤・転移を抑制します。
がん細胞の物理特性に着目した新しい治療薬が今後期待できます。
背景
がん細胞は細胞形態を変化しながら運動することで、原発巣から離れて遠隔転移を引き起こします。近年、がん細胞の物理的性質の変化とがん化の関係性が注目されていますが、がん細胞の物理特性はまだ不明であり、これを標的にした治療薬の開発が全く進んでいないというのが現状でした。
技術の内容:細胞膜張力を独自の技術で高く維持し、がんの進展を抑制
発明者は、がん細胞の細胞膜張力が正常細胞と比較して減少しているということを発見し、細胞膜張力を高く維持する技術を独自に開発しました。
本技術によって乳がん細胞の細胞膜張力を正常細胞と同様レベルまで回復したところ、マウスモデルにおける肺への転移能の消失を確認することができました(下図)。
技術の利点:がん患者の負担が少ない新たな治療薬を見込む
本技術を正常細胞に適用しても全く影響がないことが確認できており、副作用の少ない治療薬となることが見込めます。
また、がん細胞の物理特性に注目した技術であることから、がんの種類を問わず、進展抑制効果が発揮できることが期待されます。
産業応用のイメージ:がん治療に向けた創薬研究へ応用可能
本技術は、細胞の物理特性に着目した全く新しいがん細胞の進展抑制法であり、悪性がん・転移性がんの治療薬開発への応用が期待できます。
特許出願
あり
希望の連携 | 共同研究契約、実施許諾契約、オプション契約(技術検討のための契約) |
担当アソシエイト | 小林 志帆 |